硬膜外麻酔と無痛分娩
痛みに耐えるのが美点、とされている日本では出産時に麻酔を使うのは帝王切開などの緊急時に限る、というイメージがあります。
一方アメリカやフランスなど欧米諸国では経膣分娩の際にも硬膜外麻酔で無痛分娩をするのが一般的です。
硬膜外麻酔というのは、局所麻酔の一種で、脊椎麻酔を行う場所よりもうすこし浅い所――脊髄を覆っている硬膜という膜の外側に直径1mmほどのチューブ(カテーテル)を挿入し、ここから麻酔液を継続的、あるいは断続的に注入します。
髄膜炎の危険がある脊椎麻酔よりも安全で、麻酔が効き始めるまでに時間がかかるものの、チューブを入れている間は患者さんの状況に応じて麻酔液を追加できるなどのメリットがあり、一般の手術ではよく採用されているものです。
出産時での硬膜外麻酔は、子宮口が4cm以上開いた段階で開始するとされていますが、担当医の判断によります。
また、心配になるのが、麻酔薬の赤ちゃんへの影響ですが、局所麻酔のため、ほとんどありません。
全体としては痛みを感じない(体質によりゼロではありませんが)ため、リラックスでき、子宮付近に余分な力がかからない分、赤ちゃんへの負担も軽くなります。
また、意識は保たれているので出産の過程はちゃんと把握していられます。
自然育児という考え方の中で問題視されていたのが、麻酔分娩(全身麻酔による意識がなくなるもの)で赤ちゃんを取り出すと、母親の母性が形成されない、というものでした。
これは動物実験されたのですが(目的は別にあったように思います)、出産間近の動物に麻酔をかけて帝王切開で胎児を取り出したところ、麻酔から覚めた母親は全て、子を置き去りにして行ってしまったというものです。
この実験から麻酔による出産は母性形成の妨げになる、という説が広まってしまいました。
確かに動物にとってみれば、知らない間にお腹がペッタンコになっていて赤ちゃんがそこにいたとしても、自分のお腹から出てきた仔と認識するだけの知能はないでしょう。
でも人間にとっては、出産過程を体験することだけが、赤ちゃんを我が子と認識する手段ではありません。
ただ、“知らないうちに出ていた”、よりは出産の進行を把握しておくほうが実感は高まるとは思いますけれど。
それよりは、痛みを恐れて出産を楽しめないほうがその後のこどもへの愛情に陰がさすかもしれません。
例えばいつもこう思ってる(言う)お母さんはどうでしょう?
「こんな痛い思いをして生んでやったんだからもっとお母さんの言うことを聞きなさい」
こう言われて素直に「はい」と答えられますか?
ままんは素直にありがとうとは言えないです。
だからこどもにはそんな押し付けがましさを持たないようにしたいと思っています。